鹿が畑を荒らします 

私たちの畑に鹿が出てきて畑の野菜を食い荒らします。鹿は1匹や2匹ではありません。親子同族群をなして出てくるのです。一夜のうちにあっという間に広い範囲にわたって食べられてしまいます。

先日もほうれん草が大分大きくなってきたので2〜3日のうちに収穫しようと思っていましたのに翌々日行ってみますと無惨な有様です。今年はすでに大根、ケール、白菜、蕪、赤蕪、小松菜、水菜など葉菜類がほとんどやられました。被害の範囲や程度は昨年よりうんとひどくなっております。どうすればよいのでしょうか。

以前は猪が多かったのですが今は少なくなりその数倍の勢いで鹿が来ます。鹿だけではありません。狸もヌートリア(ねずみの大きいような動物)なども出てきます。空からはカラスが西瓜をねらっていますし、まもなくヒヨの大群が一気に飛んできます。このように鳥獣の被害は年々増加し、もう放置できない状態にまできていると思います。被害者として感情抜きに書いていますが、実のところはこの事態をどう受けとめ対応したらよいのか分からないのです。

昔は猪の被害に対して村の人たちが総出で山裾にトタンの防壁を張り巡らしました。今は自分の畑にだけネットを張って防いでいます。共同防御から自己防御に変わってきています。農業生産の変化が村落共同体のあり方を変えてきたひとつの例です。しかしいずれは個人防御も限界に来るに違いありません。人間と鳥獣の共存、共生はいいのですが共生できていないのです。どうしてこんなことになったのでしょうか。 

私たちの畑から10Kmもいかない山中に西播磨科学公園都市があります。広大な開拓地です。山林を切り開いたところです。ここに住んでいた動物たちが里に下りてきたのだと言う人たちがいます。説得力のある理由です。昔は村人たちが薪を取りに里山に入りましたので動物たちは人間を恐れてさらに裏山に逃げ込んで里には出てこなかったのですが、今は村人たちが山に入らなくなったので動物たちが我が物顔をして野に出てくるというのです。それにおいしい野菜を口にするとその味を忘れられずまた仲間たちを引き連れて出てくるのです。 

最近こんな説を聞きました。昔は里山で木を切り倒したので切った株から新しい芽や葉っぱが出てきて動物たちもそれを食べられたのですが、今は30〜50年も切らずにいる木々は背が高くなり上のほうにしか新芽を出しません。動物たちには食べられなくなってしまって山中には彼らの食べ物がなくなっている、そう説明されてなるほどとうなずきました。理由はまだまだたくさんあるでしょうが、いずれにしても困り果てています。何かいい対策はないものでしょうか。

文・増田 大成

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